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b.文字高約5mmの運賃数字=視認距離およそ10cm
程度である。
3)文字を読む場合、対象の間近まで接近するから、視野は極端に狭くなる。
4)自分に必要な情報が記載されているサインを見つけ出すことは難しい。サインに記載されている情報量が多く、読めるほど接近した状態では、全体を視認することができないためである。
5)列車の中から駅名標を見つけるのは難しい。ただし地下鉄の対向壁に掲出されている駅名標は、列車が止まれば視認距離が1m以内なので読むことができる。
6)地図は細かくて読みづらい。

 

2. 駅利用の前提条件
1)駅のサインが利用しづらいため、この被験者も、より重度な視覚障害者と同様に、鉄道を利用する場合必ず事前情報を収集することにしている。
2)駅利用の前提は、事前情報と以前の経験時の記憶である。

 

3. 情報受容の特徴
1)この被験者の場合、駅を利用してわからなくなれば人に聞くことを原則としている。
2)最も頼りにしているのは駅員である。
3)視覚表示で有効なのはトイレなどのピクトグラフである。
ピクトグラフは図形が大きく、かつ視野が狭くとも読み取ることができるためと思われる。
4)車内で頼りにしているのは音声放送である。
5)この被験者は、誘導ブロックは利用しない。

 

2-2 現状設備への評価
1. 障害者による指摘
被験者から視覚案内について以下のような指摘がある。
1)内照式サインはまぶしくて見づらい。
2)ピクト式のサインはわかりやすい。
3)地図式の運賃表は、目的駅名を探すのがたいへんである。
4)LED表示器の表示色の見やすさは、上から赤、オレンジ、緑の順である。
5)サインでは、図と地の色の組み合わせで、読みやすさに大きな違いがある。

 

2.現状設備への評価
1) このレベルの弱視者に対応する情報提供システムとして、ビジュアル・サインを主設備として想定するのは無理がある。
a.事前情報ツール

 

 

 

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